「エイジング・アドバイザー®」の社会的役割(その1)

2010-07-27 18:41:07

大学生の求職活動は三年生の7月からスタートします。キャリアセンター職員による学内ガイダンスからスタートします。企業の採用選考は12月から行われます。

早期に行う企業は大企業ではなく特徴ある中堅企業から始まります。
企業が学生に求める一番の能力は規模の大小を問わず「コミュニケーション力」です。
この評価手段にグループディスカッション(GD)があります。テーマは応募企業の製品の販路拡大のために、第三者である学生にGDによって拡販のための企画提案を求める企業が多いようです。それもよろしいと思いますが、見ず知らずの学生が集まって語り合う折角の機会なので働くことについて真剣に考えてもらいたいと思い、「何のために働くか」を不変のテーマとしています。
60分間、8名1グループ×2グループです。評価シートは個人別にB-4版で計16枚になります。評価項目数は80(チェック式)、さらに個人別に詳細なコメントを記入します。瞬時の判断が求められます。慣れない人には至難の業です。60分といっても実質討議時間は45分しかありません。45分/16名=3分/一人当たり評価表作成に要する時間となります。
まさしく斯界のベテランでなければできないプロの仕事です。GDに入る前に評価員から進め方のアドバイスをします。これをしないと結論が大学生らしからぬものになるからです。10年間同じテーマですが、当初自主性に任せて進めさせたところからの反省です。このテーマについてGDを始める前は16名中15名はカネのためと固く信じています。アルバイト経験の弊害です。
「何のために働くか」=「カネのため」とすればGDを始める前から結論は決まっています。
一日24時間しかありません。働く時間を極少化して、遊ぶ時間や一家団欒の時間を極大化したい、そのためにお金もできるだけ沢山欲しいと各人は考えているのです。誰でも80社ほど会社説明会に参加していますので、その体験談を披歴し合い、いい会社の定義で60分を空費してしまいます。
「何のために働くか」を「カネのために働く」と信じている者のグループの結論は、『初任給の高さ→賞与の月数多さ→年収の多さ→生涯年収の多さ→福利厚生制度の充実度合い→有給休暇日数の多さ→有給休暇日数消化率の高さ→残業はいや→土日祝祭日は確実に休めること→9時から夕方5時の勤務できちっと帰れること。
こういう会社に就職したい。ほっておけばこれが大学生8名で60分間討議した結論です。
アドバイスの内容については次号にしますが、ほとんどの学生は企業・組織・団体に就職するに当り、「何のために働くか」=「カネのため」のレベルで入社してくると考えて外れていません。「何のために働くか」を真剣に考え且つ本質を掴んだ上で就職活動をしている者はほんの一握りです。こういう人たちが40歳になり、50歳になった時どうなっているでしょうか。
いまの40歳代、50歳代のビジネスパーソン及びその配偶者は定年まで残り少なくなった組織人としての期間を将来のためにどう備えようと考えているのでしょうか、私たち「エイジング・アドバイザー®」にとって大変興味あることです。定年になったら間に合いませんが、まだ間に合う年齢層です。私たちの提供しようとしているサービスがこの年齢層にとって自身の喫緊のニーズに合致していることを認識さえしてもらえれば・・・「エイジング・アドバイザー®」の目の前にはまことに大きな商機があるのです。


NPO/特定非営利活動法人 日本プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー協会 理事長 白根 陸夫

白根 陸夫 (しらね りくお) 満67歳
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ